過敏性腸症候群
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こんな経験がある人は過敏性腸症候群(IBS)かもしれません。
- 通勤途中の電車や車の中でおなかが痛くなりトイレに駆け込む。
- 通学途中に、おなかが痛くなる。
- 試験の前におなかが痛くなり、集中できない。
- 大事な会議の前に、おなかが痛くなる。
- 旅行中、急におなかが痛くなり、トイレを探す。
過敏性腸症候群(IBS)とは
過敏性腸症候群(IBS)とは、下痢や便秘などの便通異常をともなう腹痛や腹部不快感が、慢性的にくり返される疾患のこと。
現代のストレス社会では急増している疾患のひとつです。
腸と脳には密接な関係があり、脳が不安やストレスを感じると、その信号が腸に伝わって影響を与えてしまうのです。
IBSのタイプ(下痢型・便秘型・混合型)
下痢型:『泥状便・水様便』が多い。下痢症状は男性に多い。
便秘型:『硬い便・コロコロ便』が多い。便秘症状は女性に多い。
混合型:『泥状便・水様便』になったり、『硬い便・コロコロ便』になったりする。
その他:上記のどれにも当てはまらない。
“ただの下痢や腹痛”で片付けないでください
下痢や腹痛は誰しもが経験する症状であり、それ自体が珍しいことではありません。しかしそれゆえに、「ただの下痢や腹痛だから」と当たり前のように受け入れてしまい、そこに病気が潜んでいたとしても気づきにくい場合が多いようです。
便通常から考えられる腸の病気には、多くの病気が存在します。便通異常が長く続く場合は、その原因が何であるのかをしっかりと見極める必要があるでしょう。
IBSの治療法
「IBS」の治療は、食事療法や運動療法をはじめとするライフスタイルの改善からはじまりますが、それでも十分な改善が得られない場合は、薬物による治療が行われます。
“これまであらゆる治療を試したけれどうまくいかなかった”
“ストレス自体の解決ができなければ意味がない”
と思う人もいらっしゃるかもしれませんが、最近、腸に作用する『セロトニン』という物質に着目した治療薬が国内に登場し、大きな期待が寄せられています。
便通異常には、大きな病気がひそんでいることも
慢性的な便通異常のうち、とくに見逃してはならないのが大腸がんや炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病など)です。このため医療機関を受診すると、まずはこうした大きな病気が潜んでいないかどうかを確認するために、血液や便の検査をすることもあります。とくに急激な体重減少や血の混じった便がみられたり、就寝中にもかかわらず排便のためにトイレに行きたくなったりする場合は、大腸がんや炎症性腸疾患などの疑いが高く、大腸内視鏡検査などによる詳しい検査を行います。
便通異常が長く続く場合は専門の病院に受診し、診断・治療を受けるようにしましょう。特に最近は大腸がんが増加しているのでご注意ください。
規則正しい生活を症状で異なる治療法
春は入学、入社、転勤など環境変化でストレスを受けやすい季節。通学・通勤途中の電車や車の中でおなかが痛くなり、トイレに駆け込んだ経験はないだろうか。ストレスの多い現代社会で増えている「過敏性腸症候群(IBS)」は、命にかかわる病気ではないが、ひどくなると外出が困難になって生活の質を低下させる。小林内科胃腸科医院(高崎市井野町)の小林二郎院長(71)に、IBSの症状や予防法について聞いた。
小林医師(高崎)に聞く
IBSは腹痛や腹部の不快感とともに下痢や便秘を慢性的に繰り返す病気。排便によって症状が改善するのが特徴で、下痢型と便秘型、両方を繰り返す混合型に大別される。小林院長は「男性は下痢、女性は便秘が多く、ストレスが多い年度末や寒暖の差が大きい季節の変わり目に発症しやすい」と説明する。
自律神経が作用
下痢は腸の運動が活発になって消化物が腸をすぐに通過してしまったり、腸粘膜の分泌増加で水分を十分に吸収できなくなって起きる。一方の便秘は腸が部分的に緊張、収縮して動きがにぶくなり、消化物の水分が吸収され過ぎてしまうのが原因だ。
胃腸は、食べ物を消化・吸収するだけでなく、ホルモン分泌や免疫など多くの機能を持っている。交感神経と副交感神経という正反対の作用をする自律神経でコントロールされ、その働きが崩れると下痢や便秘になる。
脳と腸には関連するホルモンがあり、脳が精神的、肉体的にストレスを受けると腸にも影響するという。腸の運動が不規則になると腸がけいれんし、おなかが張って便秘になることも。徹夜で遊ぶのは肉体的なストレスとされる。
バランス良い食生活
IBSを予防するには、早寝早起きして朝食をきちんと食べたり、決まった時間に排便して適度な運動を行うなど規則正しい生活習慣を心掛けることが大切だ。定年退職後に生活リズムが変わり、IBSになる患者も多いという。
小林院長は「腸は反応性が高い器官で、冷たい飲み物は腸を刺激して下痢になりやすい」と話し、腸に負担がかかる刺激物を控えた栄養バランスの良い食生活の大切さをアピール。夜遅い空腹時に飲食して寝るのも良くないという。
症状により治療法は異なるが、生活習慣の改善に加えて消化剤や整腸剤、腸の自律神経調節剤などが処方される。精神的なストレスが原因の場合は、抗不安薬を用いることもある。不眠症や不安感、抑うつ症状などを伴う場合は心療内科などの治療が必要になる。
注意したいのはIBSの症状に加えて発熱や血便、体重減少がある場合。潰瘍性大腸炎やクローン病、大腸がんといった器質的疾患の疑いもある。小林院長は「安易に判断しないで、不安があったら医療機関を受診してほしい」と呼び掛けている。